高齢者に対する看護で多く見られる問題として、世代間の考え方のギャップがある。
高齢者と看護に従事する人の年齢差は広く、場合によっては親子以上の開きがあることも珍しくない。
物事に対する考え方や価値観が大きく異なるため、看護する人にとっては当たり前のことも高齢者からすれば、非常識で失礼に見えてしまうことがある。
また、医療行為に関する認識についても世代間のギャップが大きいのが問題だ。
高齢者は、医学的な根拠に乏しい民間療法を昔からの伝統という理由でかたくなに信じ込み、医療従事者である看護師や医師の言うことに強く反発するケースがある。
場合によっては看護を拒否することもあるため、早急な対処が不可欠だ。
高齢者の看護で生じたトラブルを解消するには、高齢者の言い分を尊重しつつも看護する側の方針を守らせることが重要である。
年上で人生経験が豊富な高齢者を敬う姿勢を見せながらも、医療の専門家としての意見をさりげなく提示するのが効果的だ。
高齢者も自身の考えを尊重する相手の言い分は信頼できると考えるので、看護を素直に受け入れやすくなる。
高齢者の言い分を頭ごなしに否定するのは関係が悪くなる大きな原因にもなりかねないので、絶対に行わないようにしよう。
医学的には誤りでも高齢者の考え方や価値観の一切を否定するのは患者を労わるという看護の理念に反している。
高齢者への看護は思いやりと寛容の姿勢を持ちながら、医学的に正しい方法で対処することが重要だ。